診断02 虚・実

虚・実

「虚」とはどんなものなのか?

虚とは、身体に必要な気・血・津液や陰・陽の不足をさしており、五臓にも気血があるので、心気・心血・心陽・心陰などが不足している時をさしていいます。例えば、虚とは不足を意味しますので、身体が疲れると症状が出やすく、しかも動悸や不眠、不安感などが、疲れとともに出てくるようならば心の症状ですので、心血虚証と判断します。このように五臓に特徴的な精神症状と判断します。このように五臓に特徴的な精神症状と判断します。

「実」とはどんなものか?

実とは、「邪」が存在しているときをいい、邪とは身体にとって不必要であるばかりではなく、悪い影響を与えるものをいいます。例えば健康であれば、気や血は体内をスムーズに流れて精神や身体の機能は健康に保たれています。しかし気や血が停滞してくると気滞や瘀血という邪がつくられ、精神や身体に悪い影響をおよぼすのです。

邪のはたらき

具体的に邪について説明しましょう。患部に、はりや痛みを感じ、ゲップやオナラが出ると楽になったり、精神的にはイライラおこりっぽく、頭痛、めまい、胸苦しさなどを伴い、さらに症状が、精神の影響を受けて悪くなるようであれば、気が停滞しているためだと判断して、気滞といいます。本来の身体や精神の機能がスムーズに動くようにするのが気の役目ですが、それが停滞した気滞は邪実にあたります。

また肝気がうまくまわらず、イライラしておこりっぽく、さらにのぼせまでおこすような状態を、肝(かん)気(き)欝化(うつか)火(か)といいます。これなどは、肝気欝から生じた火邪という、邪実の状態を意味します。痛む場所が、固定してチクチクさすような痛みがあったり、のぼせ、鼻血、内出血、顔色や唇に暗紫色などがみられ、精神的には奇抜な行動や妄想があらわれるときには、血の流れが滞っているためで、瘀血といい、これも邪実です。

肝気欝に瘀血が併発すれば、肝気欝血瘀証(かんきうつけつおしょう)になりますし、瘀血が胃に熱をもった胃実証に出れば、瘀血胃実証になります。身体や頭が重く、むくみやめまい、吐き気、小便の量が少ないなどがあれば、身体にとって必要な津液が過剰に停滞している状態を、痰飲といい、邪実となります。痰飲は、他の気滞や熱邪などと手を組んで症状を出しやすく、気鬱と痰飲が一緒になると肝気欝痰凝証(かんきうつたんぎょうしょう)となって、のどのつまりや圧迫感が出たりします。

そのほか、邪となりうるものとしては、風、熱(火)もみられ、五臓に邪が入り込むと、心火証(しんかしょう)・肝(かん)火上炎証(かじょうえんしょう)、痰熱擾(たんねつじょう)心証(しんしょう)、肝気欝擾(かんきうつじょう)心証(しんしょう)などになります。次に虚熱証と言うのは、身体に必要な陰液が減少したために生じた熱であるので、陰虚証ともいいます。虚熱では、手足のほてり、のぼせ、寝汗、夕方から夜にかけての微熱などがあらわれます。