診断04 気・血・津液

気・血・津液

漢方では、気、血、津液という活動物質が全身を流れ、精神、内臓や全身に栄養を与えて、生命活動を維持していると考えます。気・血・津液の異常で、精神や肉体の病気や機能異常がおこり、それぞれ単独でおこることもあれば複合しておこることもあります。

気は、活動力・抵抗力・身体を温める力・食べ物から肉体や血、津液をつくるエネルギーとしてはたらきます。やる気が出たり、活気をつけたり、強い精神力などを受け持ちます。

気の異常

気虚(気の不足) 気の作用と役割が低下するので、やる気が落ちたり、おっくうになったり、疲れたりします。特徴は朝のうちに調子が出なかったり、疲れるとよけい症状が悪化します。 気滞(気の停滞) 気がスムーズに流れずに滞るために、気としての役割に異常をきたし、気滞による症状を表します。気持ちがイライラしたり、はって苦しかったり、のどや胃がつかえて詰まったり、胸苦しくなったりします。特徴はストレスによって悪化する事です。

血は、食べ物から気によって作られ、内臓・筋肉・骨格・皮膚・爪・髪に栄養を与えます。しかも精神作用も血によって養われて、正常に機能していると考えます。血液と同じものとは考えません。

血の異常

血虚(血の不足) 精神や全身、内臓に栄養がいきわたらず、血の作用と役割の低下がおこります。不安感や不眠、物忘れがおこり、精神も不安定になり、過労すると悪化します。 瘀血(血の停滞) 血が停滞して血としての役割に異常をきたすと、瘀血による症状を表します。奇抜な行動や妄想がおこり、精神が不安になり、精神症状が夜に悪化したり生理の影響を受けたりします。

津液

津液とは、生きていく上で必要な体内のすべての水液、つまり汗、涙、唾、血液、関節液、胃液、尿、髄液などをさします。津液が不足したために津液の不足証や陰虚証で、反対に過剰に存在したり、ある部分に停滞して作用するものが、水湿証や痰飲証です。

津液の異常

津液の不足証(津液の不足) 高熱を出したり、発汗が激しかったりして、津液が不足するとおこります。

陰虚証

津液や血、精の不足から虚熱が生じたものが、陰虚証になります。精が不足すると、人としての成長発育が遅れたり、老化現象が早まったり、記憶や思考力が落ちたりします。腎虚になると、物忘れしたり思考力が落ちるのはそのためです。

水湿証

水湿証は、水分の代謝がうまくいかないために、むくみや尿が少ないなどの症状としてあらわれます。

痰陰証

痰陰証は、水湿が濃くなったもので、寒痰と痰熱に分けられます。寒痰は、咳や鼻炎などで、白く薄い鼻水やタンが多い時にみられます。痰熱は、黄色くネバネバしたタンや鼻汁などが出る副鼻腔炎や咳などにみられ、そのほか痰熱擾心というイライラしたり、ネチネチした精神状態をあらわすことがありました。