漢方の考え方 の基本

 

漢方の考え方の基礎になっているものは、陰(いん)・陽(よう)・虚(きょ)・実(じつ)・寒(かん)・熱(ねつ)・気(き)・血(けつ)・津液しん(えき)・五臓(ごぞう)(肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん))などがあります。
漢方では、健康な人の事を「平人(へいじん)」といいます。全体として、大きな過不足なく、平衡を保っている人と言う事です。

陰・陽・虚・実・寒・熱・気・血・津液などのバランスがくずれ、五臓六腑の生理的な関係が乱れたりすると「平人」でなくなり、肉体面や精神面に症状があらわれます。

漢方では、この乱れによる過不足を正常に戻すことが治療目的になります。

漢方の判断基準

漢方では、患者の精神や肉体の症状を判断する事により、その情報を陰陽・虚実・寒熱・気血・津液・五臓という物差しで分類して、証(しょう)と言う治療方法の目的を決定します。

この証がはっきり決定できない段階や決定する前に、漢方薬を安易に服用すると、自分に適切でないものを飲んでしまうこともあるので、十分な注意が必要です。

例えば、漢方薬でも体を冷やす薬もあれば、反対に暖める薬もあります。
患者さんが心熱(漢方で言う心臓の熱)があり、そのため落ち着かずイライラして不眠だとします。

漢方では心熱を清熱するといって冷やして正常に戻そうとします。
その時、反対に暖める薬を服用してしまったら、もとの症状が悪化してしまいます。

これは漢方薬の副作用ではなく、むしろ明らかな使い間違いに相当します。
今は情報も非常に早く、○○と言った漢方薬が良いと聞くと、治りたい一心で、すぐに買いに走る人がいます。

しかし、きちんと証(しょう)を判断し、薬を選ばないと、長く飲んでも効かないばかりか、体調を崩すこともあり得るのです。

そこで漢方を選ぶ上で一番重要な判断基準について説明しましょう。